もし今の治療法に疑問を感じているなら、立ち止まって考えてみる時期かもしれません。
私たちはA病院での治療を続けていましたが、ある時。新たな可能性を求めて西新宿にある不妊治療専門のB病院へ転院することを決断しました。
なぜその選択に至ったのか。具体的な経緯とそこで見えてきたことについて詳しくお伝えします。
最後まで読んでみてください。
終わりの見えないトンネルの先に、一筋の光を求めて

終わりの見えないトンネルの先に、一筋の光を求めて
2022年4月までの道のりも、決して平坦ではありませんでした。私たちの不妊治療は、多くの期待と不安を抱えながら進んでいました。
2022年5月
予期せぬ出来事が、私たちを襲います。4月末に新型コロナウイルスに感染し、ゴールデンウィークの予定は全てキャンセル。実家へ帰省することも叶わず、自宅での療養を余儀なくされました。高熱と倦怠感に苛まれながらも、心の中には「この状況が治療にどう影響するのだろう」という漠然とした不安が常にありました。回復を待って、すぐにA病院へ足を運びました。一刻も早く、治療を再開したかったのです。
2022年6月
エコー検査と排卵誘発のための注射、そしてプロラクチンの採血。これらは私たちにとって、もはや日常の一部となっていました。プロラクチンとは、脳の下垂体から分泌されるホルモンで、本来は乳汁の分泌を促す働きがあります。しかし、妊娠していない時期に高値が続くと、排卵を抑制し、不妊の原因となることがあるのです。 毎月、このホルモン値の推移に一喜一憂していました。
しかし、ここで予期せぬ壁に直面します。不妊治療におけるエコー検査には、保険適用の上限回数が定められているのです。
具体的には、基本的に1周期あたり2〜3回までが保険適用とされています。ただし、排卵誘発剤を使用している場合は、1周期あたり3回まで保険適用となります。これは、医療費の抑制を目的とした国の制度によるものです。しかし、卵胞の成長具合を正確に把握するためには、月に複数回のエコー検査が必要となるケースが少なくありません。私たちの場合も、医師が排卵のタイミングを見極めるために、頻繁なエコー検査が必要でした。知らず知らずのうちにその回数を超えてしまい、この月からエコー検査は全て保険適用外、つまり自費診療となりました。1回あたりの金額は決して安くありません。保険が適用されれば数千円で済む検査が、自費となると数倍、時には1万円を超えることもありました。治療費の負担はますます増え、精神的なプレッシャーも大きくなりました。毎回の会計時には、その金額の大きさにため息が漏れることも少なくありませんでした。保険診療の範囲内で治療を進めたいという思いと、しかし最善の治療を受けたいという思いとの間で、葛藤が生まれていました。
2022年7月
排卵誘発注射の副作用により、卵胞がうまく育たず、排卵できないという事態が発生したのです。医師からは、生理を起こさせるための薬が処方されました。ピルである「プラノバール」と、プロラクチンを抑える「カベルゴリン」。これらの薬を飲むたび、「なぜ、私たちの体は思うように機能しないのだろう」という無力感に襲われました。期待と不安が入り混じる中、治療は思うように進まず、焦りだけが募っていきました。
2022年8月
7月と同じ状況でした。再び注射の副作用で排卵ができなくなり、生理を起こすための薬に頼る日々が続きました。ちょうどこの月は、私と妻、それぞれの誕生日がありました。病院では、医師から私たち夫婦にとっての「タイムリミット」について尋ねられていました。私たちは、医師にこう伝えました。「誕生日の月までタイミング法で頑張ってみて、それでも難しければステップアップを検討したいと思います」。この言葉の裏には、どこかまだ「自然妊娠」への小さな憧れと、わずかな希望が残されていました。しかし、現実の厳しさを痛感する日々でした。
2022年9月
私たちは大きな転機を迎えました。排卵誘発注射による治療から、治療内容を変更することになったのです。新たに処方されたのは、「ブセレリン点鼻液」。この点鼻薬は、脳の下垂体を刺激し、排卵を促すというものでした。新しい治療法への期待と共に、私たちはA病院の医師から再び「やれることはやった」というニュアンスの言葉と共に、タイムリミットの話を持ち出されました。A病院の先生は時に「スパルタだな」と感じることもありましたが、それも私たちのことを真剣に考えてくれている愛嬌なのだと受け止めていました。 医師からの次のステップの提案があり、私たちにとって大きな決断を迫るものでした。まるで「これ以上は、うちでは限界だ」と言われているような、突き放されたような気持ちにもなりました。
この言葉を受け、私たち夫婦は真剣に話し合いました。「このままA病院で治療を続けるべきか、それとも新たな道を探すべきか」。最終的に私たちは「治療のステップアップ」を決断しました。そして、そのためには転院が必要だという結論に至ったのです。A病院の医師からも、不妊治療の専門病院への転院を勧められ、いくつかの候補を検討し始めました。
2022年10月
私たちはついに決断を実行に移しました。A病院の医師に紹介状を書いてもらい、不妊治療の専門病院として名高い、西新宿にあるB病院への転院を決めました。A病院での通院は、この日で終わりを告げました。これまでの治療期間、私たちの心は何度も折れそうになりました。しかし、私たちは決して諦めませんでした。
医療費の詳細
下記が5月から10月はじめまでの約5ヶ月にわたりA病院へ通院した際の医療費明細です。仕事の合間や休日を利用し、排卵のタイミングに合わせて合計12回通院しました。
日時 | 受診者 | 受診内容・検査結果 | 検査項目 | 通院料(薬代込み) |
---|---|---|---|---|
2022年5月16日 | 妻 | エコー | 4,242円 | |
2022年6月14日 | 妻 | エコー、排卵誘発注射、プロラクチンの採血 | 5,136円 | |
2022年6月17日 | 妻 | エコー、排卵誘発注射 | 10,214円 | |
2022年7月5日 | 妻 | エコー、注射の副作用により卵胞割れず排卵できなくなった。 ピル飲み生理を起こさせるため薬処方(ピル→プラノバール、プロラクチン→カベルゴリン) | 7,174円 | |
2022年7月23日 | 妻 | エコー | 3,824円 | |
2022年7月30日 | 妻 | エコー、カベルゴリン処方 | 3,424円 | |
2022年8月8日 | 妻 | エコー、注射の副作用により卵胞割れず排卵できなくなった。 ピル飲み生理を起こさせるため薬処方(ピル→プラノバール、プロラクチン→カベルゴリン) | 6,734円 | |
2022年9月3日 | 妻 | エコー | 2,664円 | |
2022年9月6日 | 妻 | エコー、排卵誘発注射から治療内容変更。点鼻薬にて脳の下垂体を刺激し、排卵を促す ブセレリン点鼻薬処方 | 卵管検査 精液検査 | 4,444円 |
2022年9月9日 | 妻 | エコー | 1,674円 | |
2022年9月22日 | エコー | 380円 | ||
2022年10月3日 | 妻 | B病院の紹介状を書いてもらう。 A病院への通院は終了 | 1,800円 |
まとめ

今回のブログでは新たな可能性を求めてA病院から西新宿にある不妊治療専門のB病院へ転院についてお話をさせていただきました。
5月から10月はじめまでにかかった医療費は、合計で51,710円。
A病院での通院回数と費用の内訳
通院回数22回。期間は約9ヶ月。医療費は合計で99,478円。
これほど多くの時間とお金を費やしたのに、残念ながら良い結果には繋がりませんでした。
「こんなに頑張ったのに、ダメだったか…」
正直な気持ちは、そんな思いでいっぱいです。期待と不安が入り混じりながら通い続けた日々、そして決して少なくない費用。それらが報われなかった現実に、今はただ、やりきれない気持ちでいます。
しかし、この経験が無駄だったとは思いたくありません。不妊治療は、身体だけでなく心にも大きな負担がかかるものです。今回の経験を胸に、次へと進むための糧にしていこうと思います。
次回のブログでは、B病院に転院してからのことについてお話しできればと思います。
引き続きよろしくお願いいたします。
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